2019.01.23

Tokyo Gets・海外統括が語る①「日本のマンガ/アニメの高い訴求力」

いまや、マンガやアニメーションは、日本にとって重要な輸出コンテンツとなっている。日本生まれのキャラクターの数多くが海外でも認知されるようになった。海外マーケットにおける広告プロモーションのツールとして注目しない手はない。海外での日本産アニメ/マンガとのコラボレーション事情について、タイアップ専門エージェンシーのトキオ・ゲッツ、山田 奈津子さんに話を聞いた。

トキオ・ゲッツ インターナショナルマーケティングディビジョン 
マネージャー山田 奈津子(やまだ・なつこ)

2005年トキオ・ゲッツ入社。国内事業として映画のタイアップ企画を手掛けた後、2012年の台湾オフィス開設時より海外事業に参画。2015年よりバンコクオフィスの支店長として駐在しつつ、台湾、インドネシア、中国、フィリピン、ベトナムを飛び回り、海外事業を統括する。


――まず、トキオ・ゲッツの海外進出の概略を教えてください。

山田 2012年にインドネシアと台湾に進出したのが最初。企業のプロモーションキャンペーンに日本のキャラクターを使う企画提案をアジアでもできるのではないかということで。私自身は台湾オフィスの立ち上げから参画しています。2014年にはタイのオフィスも新たに開設。その3ヵ国に1年ぐらいずつ住みながら、現地の事業を作ってきました。

――現在、山田さんご自身は日本に戻られてるんですね。

山田 はい。先ほど挙げた3ヵ国にある自社拠点の統括をしつつ、それ以外のエリアのパートナー企業とコミュニケーションを取りながら事業展開していくのが、私の仕事です。自社で拠点を置かず、パートナーシップを組んでビジネスをしているエリアとしては、中国、フィリピン、ベトナムの3ヵ国があるんです。それらのパートナー企業というのは、日系の広告代理店だったり、完全にローカルな代理店だったり。

――実際に海外へ進出してみて、どんな手応えがありましたか。

山田 海外進出を考えていらっしゃる日本企業は増えてきていると思います。ただ、日本企業が現地でキャラクターを活用している事例となると、われわれの所感としては、そんなに増えていないのかなと。逆に、現地の企業のほうが、積極的にそういうセールスプロモーションに予算をかけられているイメージがあります。
会社名は忘れましたが、タイのお菓子メーカーが、『美少女戦士セーラームーン』のステッカーシールがもらえるというようなキャンペーンをやっていたんです。これは純粋に、『美少女戦士セーラームーン』を使えばタイの女性が商品を買うことがわかっているからなんですね。そういう領域に入っている。「成熟してきたな」という感覚はあります。

同じくタイでのコラボレーションとして、とあるオンラインゲームに、日本のマンガ/アニメのキャラが登場するというプロモーションが立ち上がった。そのゲームの運営会社は、東南アジア屈指のインターネット企業の傘下にある。そんな巨大インターネット企業さえも、日本のマンガ/アニメーションのコンテンツ力を高く評価しているという事実は興味深い。

――現在ペンディング中のプロジェクトとのことですが、海外でのプロモーション事業の参考例として、そのコラボレーションについて教えてください。

山田 うちのスタッフが遊んでいたオンラインゲームなんですが、「これにキャラクターがついたら面白いのに」というひと言がきっかけ。「じゃあ、営業に行くか」と、そのスタッフと一緒に営業に行ってスタートした企画です。日本でもeスポーツがニュースになっていますが、タイでもものすごく盛り上がっています。そのゲームは、登録ユーザーが3000万人と、タイでナンバーワンのMOBAゲームです。

――それはいつ頃のことですか。

山田 2017年の夏です。クライアント側は過去にもゲーム内でいくつかコラボレーションをしていたけれど、日本のコンテンツとはまだやったことがないとのこと。タイは親日国だし、日本のアニメの人気や知名度も高い。なおかつ、ゲームユーザーが、マンガやアニメへのリテラシーが高いということで、ご相談をいただきました。いくつか候補のタイトルがありましたが、一番彼らのゲームイメージに近しく、変わったコラボができそうということで、あるタイトルがハマりました。

――具体的なコラボレーションの内容は、日本でも実施されるゲームキャラクターコラボのようなものですか。

山田 そうですね。アバターをまとったキャラを操作するゲームなんですが、ユーザーは課金ベースでそれらのアバターを購入するという仕組みです。そのバリエーションに、マンガ/アニメのタイトルに変身する課金アバターを販売するというわけです。こちらは、コスチュームだけでなく、ヒーローの顔も変わる設定になっています。

マンガ/アニメのキャラクターは国籍がわかりにくいことが多い。それどころか、人間かどうかすら不明な場合もある。だからこそ、国籍などの壁を越え、かわいい、かっこいいといった評価もされやすい。それも、海外におけるキャラクタービジネスの大きな強みとなる。しかし、前述のとおり、このプロジェクトはペンディングをしている。権利問題のクリアなど、日本国内以上に課題のハードルは高い。次回は、海外ならでの難しさも含め、キャラクタービジネスの実情に迫る。


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