2019.01.09

「好感度」だけでは成功しない? キャラクターマーケティングに「好感度」はどこまで必要か

マンガやアニメーションのキャラクターをコンテンツとしたマーケティングは、コンシューマーとの距離を近づけるのに効果的な手法です。しかし、好感度の高いキャラクターがすべての商品にベストマッチするとは限りません。マーケティングの成功に、キャラクターの好感度はどこまで必要なのか、弊社ライツ事業部の担当が解説します。

キャラクターマーケティングの最大のメリットは、認知度と親和性です。

認知度の高いキャラクターは、コンシューマーの目を惹く利点があります。また、自分が子どもの頃から親しんでいたキャラクターコンテンツはそれだけで親近感がわくため、コンシューマーとの距離感を縮めるのに有効です。
近年はSNSなどで拡散されることも多く、キャラクターが確立したコミックIP(intellectual property 知的財産)を使用した場合は、詳細な商品解説をしなくても商品の動きが早まる効果も期待されています。
ですが、「好感度の高いキャラクター」が、すべての商品やサービスにベストマッチするわけではありません。

もちろん、一般大衆に向けて大量に商品を売りたい場合は、誰もが知っている好感度の高いキャラクターの起用がベストです。しかし、必ずしも起用キャラクターの好感度の高さと売上げが一致しないケースもあるのです。

たとえば、2017年秋に日清食品株式会社が発売した「日清焼そばU.F.O.ビッグ」は、当時『月刊ヤングマガジン』に連載中(現在は『コミックDAYS』にて連載中)のマンガ『中間管理録トネガワ』の主人公・利根川幸雄をキャラクターに起用して、大成功を収めました。


『中間管理録トネガワ』の主人公・利根川幸雄をキャラクターに起用した、日清食品株式会社の「日清焼そばU.F.O.ビッグ」


この『中間管理録トネガワ』は、もともとはシリーズ累計2,000万部を超える人気マンガ『賭博黙示録カイジ』のスピンオフとして生まれた作品です。特別パッケージの「日清焼そばU.F.O. ビッグ」を4種類展開し、同商品のフタに記載されているアクセスコードを特設サイトで入力すると、描き下ろしの新作、または既存のエピソード2話分が読めるコラボキャンペーンを行いました。

利根川幸雄は決して好感度が高いキャラクターではありませんが、知名度と人気は抜群の高さを誇っていました。そこで、あえてアイロニカルでシニカルな広告表現を展開したところ、SNSを中心に盛り上がりを見せ、商品の好感度と注目度を上げる結果となりました。

マス向けではないニッチな指向性の商品を売りたい場合も、あえて「ヒーローでも主人公でもないサブキャラ」を起用することで、ニッチなコンシューマーニーズにマッチさせるというケースもあります。

今講談社で進行中の案件にも、「好感度は低いけれど自分のスタンスを確立している」サブキャラと、「自分らしさ」をテーマにした新商品を発売するインポートブランドとのコラボ企画があります。購買層のターゲット属性に見事にマッチした「全員から好かれるわけではないけれど、我が道を進むサブキャラ」を起用することで共感を呼び、販売効果が高まると期待されています。

一般的に知名度がそれほど高くない深夜アニメのキャラクターなども、非常に熱心なファンがいます。また、単純に見た目がかわいいという理由でコンテンツの売上増に貢献するケースも少なくありません。


キャラクターマーケティング成功のポイント


キャラクターマーケティングを利するためには、作品に対する理解と妥協のないクリエイティブが必要不可欠です。
あたりまえですが、キャラクターを起用したキャンペーンを行う場合、担当クリエイターは自分が起用するキャラクターのインサイトをきちんと理解した上で、商品とのマッチングを考えなければうまくいきません。
一番のポイントは、「どんな商品を誰に対して売りたいのか」というコンセプトと、使用するキャラクターの属性が、いかにマッチしているのかということです。決して、キャラクターの「人気度」や「好感度」で決めるべきではないのです。

クリエイターは事前に原作をきちんと読み込み、原作に対しても商品と同じように深い知識と理解を持った上でプランニングを進めることが重要です。
担当するクリエイターが、起用するキャラクターをきちんと理解せず、人気や好感度の高さだけで選んでは、キャラクター本来の魅力は生かせません。逆に原作の世界観を壊し、原作に対してネガティブなイメージを付与してしまう結果にもなりかねません。


好感度の高いキャラクターを起用したキャンペーンの場合は、その世界観を実際に自分が疑似体験できる企画も注目を集めています。

2018年10月27日~12月25日の期間、京王電鉄と競技かるたの頂点を目指す少女を主人公にした人気マンガ『ちはやふる』とのコラボによる「"ちはやふる"とめぐる京王線の街 ~千早と一緒にスタンプラリーしよう!~」というイベントが開催されました。『ちはやふる』の主人公・綾瀬千早たちが府中市在住という設定から、クライアントの京王電鉄はもちろん、作品と府中市双方の魅力もアピールできる企画となっていて、ノベルティの限定人気も高まり、大きな話題になりました。キャラクターは生身の人間と違って年を取らないので、「安定感のあるイメージで長期間起用したい」という企業ニーズにもうまく対応できるのが特長です。



『ちはやふる』のキャラクターを起用した京王電鉄のスタンプラリー

キャラクターマーケティングでは、あらかじめキャラクターを選定してコラボ企画をスタートする方法もありますが、予算やターゲット属性を提示してニーズにマッチしたキャラクターをセレクトしてもらう方法も有効です。

マンガはあらゆるクラスターに向けて作品が存在しています。他作品とのコラボ(複数版権の混在)は、通常NGの場合が多いのですが、雑誌や連載の「周年」記念など、コラボの企画意図が明確な場合は作家と検討のうえお受けするケースもあります。
「企業の周年」と「雑誌や連載の周年」が重なると、通常の広告表現ではできない企画が実現できる場合もあるので、担当者に相談してみると意外なアイデアやヒントがもらえるかもしれません。
作家の二次利用許諾や新規描き下ろし条件、映像化や原画展等のイベントなどの付加価値情報も、担当者にヒアリングすることで入手が可能です。
こうした情報は、より質の高いコンテンツ提案に生かせるので、活用しない手はありません。情報をうまく活用し、より効果の高いキャラクターマーケティングを行っていただきたいと思います。


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