2020.02.06

キャラクターマーケティングの深知識 好感度だけでない選択と契約のしくみとは

C-stationで掲載した数々の成功事例でもおわかりの通り、人気キャラクターを使用したキャラクターマーケティングには、課題を解決したり爆発的な人気を呼んだりする「突破力」があります。さまざまな企業のマーケティング担当の皆さまからも、「キャラクターマーケティングはぜひ検討したいテーマ」という話をよくいただきます。

ただ、導入を考える際には「どんなキャラクターを使ったらいいんだろう?」「ライセンス料はどのように決まるんだろう?」「どうやって契約から使用まで進められるんだろう?」など、いろいろな疑問や心配があってなかなか前へ進めない...という声もあるようです。
そこでこの記事では、講談社のライツ事業部担当者へのインタビューをもとに「キャラクター選びのポイント」と「契約のしくみ」について、 ちょっと深い知識をお伝えします。

※この記事は2019年に掲載された複数の記事を再編集したものです

キャラクターマーケティングの深知識(1) キャラクターの選び方と成功事例

最初のテーマは「マンガやマンガ・キャラクターの選び方」。講談社のライツ事業部担当者にヒアリングした内容からお届けします。

●キャラクターマーケティング成功の前提は 「作品理解とクリエイティブ」

キャラクターマーケティングにおいて成果を得るためには、作品に対する理解と妥協のないクリエイティブが必要不可欠です。キャラクターを起用したキャンペーンを行う場合、担当クリエイターは自分が起用するキャラクターのインサイトをきちんと理解した上で、商品とのマッチングを考えなければうまくいきません。
当然ですがクリエイターは事前に原作をきちんと読み込み、原作に対しても商品と同じように深い知識と理解を持った上でプランニングを進めることが重要です。クリエイターが起用するキャラクターをきちんと理解せず、作品の人気に頼るだけではキャラクター本来の魅力は生かせないでしょう。逆に原作の世界観を壊し、原作に対してネガティブなイメージを付与してしまう結果にもなりかねません。

●好感度だけじゃない、作品選びのカギは認知度と親和性

作品選びの一番のポイントは「どんな商品を誰に対して売りたいのか」というマーケティング戦略と、使用するキャラクターの属性がいかにマッチしているかということです。選定要素はキャラクターの「人気度」や「好感度」だけではありません。

キャラクターマーケティングの特長は、ターゲットに対する認知と親和性にあると考えています。ターゲットに対して認知度の高いキャラクターは、強く目を惹くメリットがあります。また、自分が親しんでいたキャラクターやコンテンツはそれだけで親近感がわくため、コンシューマーとの距離感を縮めるのに有効です。

近年はSNSなどで拡散されることも多いためか、キャラクターが確立したコミックIP(intellectual property 知的財産)を使用した場合は、詳細な商品解説をしなくても商品の動きが早まるという効果も期待されています。

ただ、「人気や好感度の高いキャラクター」が、すべての商品やサービスにベストマッチするわけではありません。もちろんマスマーケットに対して大量に商品を売りたい場合は、誰もが知っているこのようなキャラクターの起用がベストでしょう。しかし、必ずしも起用キャラクターの人気や好感度の高さと売上げが一致しないケースもあるのです。

●「あえて」のキャラクター選びと広告表現で成功をつかんだ事例

たとえば、2017年秋に日清食品株式会社が発売した「日清焼そばU.F.O.ビッグ」は、当時「月刊ヤングマガジン」に連載中(現在は「コミックDAYS」にて連載中)のマンガ『中間管理録トネガワ』の主人公・利根川幸雄をキャラクターに起用して、大成功を収めました。

『中間管理録トネガワ』の主人公・利根川幸雄をキャラクターに起用した
日清食品株式会社の「日清焼そばU.F.O.ビッグ」


この『中間管理録トネガワ』は、もともとはシリーズ累計2,000万部を超える人気マンガ『賭博黙示録カイジ』のスピンオフとして生まれた作品です。特別パッケージの「日清焼そばU.F.O. ビッグ」を4種類展開し、ユーザーが同商品のフタに記載されているアクセスコードを特設サイトで入力すると、描き下ろしの新作、または既存のエピソード2話分が読めるコラボキャンペーンを行いました。

利根川幸雄は決して好感度が高いキャラクターではありませんが、独特なキャラクターでコアな人気がありました。ターゲットである若年層や独身者層などに対して、彼ならではのアイロニカルでシニカルな広告表現を展開したところ、SNSを中心に盛り上がりを見せ、商品の好感度と注目度を上げる結果となりました。

さらにマス向けではないニッチな指向性の商品を売りたい場合、あえて「ヒーローでも主人公でもないサブキャラ」を起用することで、ニッチなコンシューマーニーズにマッチさせるというケースもあります。
現在講談社で進行中の案件にも、「好感度は低いけれど自分のスタンスを確立している」サブキャラと、「自分らしさ」をテーマにした新商品を発売するインポートブランドとのコラボ企画があります。購買層のターゲット属性にマッチした「全員から好かれるわけではないけれど、我が道を進むサブキャラ」を起用することで共感を呼び、販売効果が高まると期待されています。

一般的に認知度がそれほど高くない深夜アニメのキャラクターなども、非常に熱心なファンがいます。またキャラクターが認知されていなくても、単純に「見た目がかわいい」という理由で売上増に貢献するケースも少なくありません。

●キャラクターマーケティングの王道、好感度×世界観演出の成功事例

いっぽうで好感度の高いキャラクターを起用したキャンペーンの場合は、その世界観を疑似体験できる企画によって大きな成果が出ています。

たとえば、2018年に京王電鉄と人気マンガ『ちはやふる』のコラボによって「"ちはやふる"とめぐる京王線の街 ~千早と一緒にスタンプラリーしよう!~」というイベントが開催されました。
競技かるたの頂点を目指す『ちはやふる』の主人公・綾瀬千早たちが府中市在住という設定から、クライアントの京王電鉄はもちろん、作品と府中市双方の魅力もアピールできる企画となって相乗効果が生まれました。限定ノベルティなども爆発的な人気となり、大きな話題を集めました。

少し話は逸れますが、キャラクターは生身の人間と違って年を取りませんし、スキャンダルとも無縁です。「安定感のあるイメージで長期間起用したい」という企業ニーズにうまく対応できるメリットも大きいですね。


『ちはやふる』のキャラクターを起用した京王電鉄のスタンプラリー

●作品やキャラクター選びを版権元に相談するメリット

キャラクターマーケティングでは、あらかじめキャラクターを選定してコラボ企画をスタートすることが多いのですが、予算やターゲット属性を講談社などの版権元に提示し、ニーズにマッチしたキャラクターのセレクトを依頼することもできます。

マンガにはあらゆるクラスターに向けた作品が存在しますので、知らなかった良い作品に出会えることもありますし、依頼することにより「複数作品とのコラボの可能性」など副次的なメリットの可能性もあります。
複数版権の利用は通常NGとなる場合が多いのですが、雑誌や連載の「周年」記念など、コラボの企画意図が明確な場合は作家と検討のうえ実現するケースもあります。

たとえば「企業の周年」と「雑誌や連載の周年」が重なると、通常の広告表現ではできない企画が実現できる場合もあるのです。

このように版権元の担当者に相談することで意外なアイデアやヒントが得られることがありますし、作家の二次利用許諾や新規描き下ろし条件、映像化や原画展等のイベントなどの付加価値情報も得ることができます。
こうした情報はより質の高いコンテンツの実現につながりますので、活用しない手はありません。うまく利用して、より効果の高いキャラクターマーケティングを実現していただきたいですね。

キャラクターの選択について、参考になりましたででしょうか。契約へのご相談も含め、キャラクターに関するお問い合わせがありましたら、こちらからお寄せください。もちろん、キャラクターの選定や各キャラクターの周辺情報などのご相談も承りますので、お気軽にお送りください。

キャラクターマーケティングの知識(2) マンガやマンガ・キャラクター利用契約とは

次は「マンガやマンガ・キャラクター利用契約」についての知識です。
同じく講談社のライツ事業部担当者に聞いた内容を、こちらはQ&A形式でをお届けしましょう。

●「原作版権」と「アニメ版権」の違い

-マンガ・キャラクターの利用契約を考えるに当たって、前提として知っておくべき知識は何でしょうか。

版権に「原作版権」と「アニメ版権」のふたつがあることは、知っておいたほうがいいでしょう。
簡単にいえば「原作版権」は原作である漫画家の画を使う場合の版権で、「アニメ版権」はアニメーターの画を使う場合の版権です。キャラクターに動きをつけたい場合は、基本的に「アニメ版権」になります。

-どうして、そのように権利が分かれているのでしょうか?

「原作版権」は基本的にマンガ家が持っている権利、つまり著作権で、多くの場合出版社がその権利を委託され運用しています。いっぽう「アニメ版権」は、それ以外にもアニメに関わっているいろいろな企業、例えばテレビ局、DVDの発売元、アニメ制作会社、広告代理店などで構成される「制作委員会」が権利を持っていることが多いのです。

●使用料はどのように決まるのか

-マンガの使用料は、このそれぞれの契約の中でどうやって決められていくのでしょう。マンガによってどう違うのか、使いたい画の枚数や使いたいキャラクターの数は関係するのか、教えてください。

版権契約とは「そのマンガの世界観および画を使っていいですよ」という包括的な契約です。だから、どのマンガなのかとか、画の種類とか枚数などに左右されるものではありません。メジャーな作品でも一部のコアなファン向けの作品でも、基本的には変わらないものなのです。使用料を決めるのは、そのマンガを「何の媒体で使うのか」「どれだけの期間使うのか」「どの地域で使うのか」ということです。

広告宣伝や販売促進に使う場合は、「媒体はテレビから雑誌、WEB、店頭ツールまでひととおりすべて」「媒体は店頭ツールだけ」など、使用範囲が決まっているはずです。
次に期間については、だいたい3ヵ月がひと単位となっています。さらに地域については、「全国」「関東地方と中部地方」というように決めていただきます。基本的には、この3つの要素の組み合わせによって、料金が算出されるんです。

-媒体も、期間も、地域も、結局は「そのキャラクターがどのくらい世の中に露出されるのか?」ということですね?

はい、ですからキャラクターの利用料は、露出される、つまり使われるボリュームが大きいほど大きくなります。あたりまえといえばあたりまえですが、そのことに尽きます。

●使い方のバリエーションと契約のバリエーション

-ある新製品の広告に、ぴったりのマンガのキャラクターと画を見つけたとします。それがモノクロの画だったら、どうすればいいのでしょうか。さらに「吹き出しに、商品にハマるセリフを入れたらもっとおもしろい広告になる!」という時などはどうでしょうか。

もちろんそれもご相談次第です。指定されたたモノクロの画を、マンガ家さんにお願いして着色していただくこともあります。セリフに関しても同じですし、さらに進めてオリジナルの画やオリジナルストーリーのマンガを描いていただくこともあります。このようなご希望はC-Stationを通して、個別にご相談いただければと思います。

-これまでは広告宣伝に関する話でしたが、キャラクターを商品に使いたい場合も、同じように考えればいいのでしょうか?

グッズの「商品化」契約は、広告宣伝とはまったく考え方が違います。「商品化」では、キャラクターはグッズ商品の一部ですから、その価値もグッズ商品の中に含まれていると考えられます。だからグッズ商品化の場合の使用料は、「商品の価格」×「規定のロイヤリティ率」で一個あたりの価値が決まり、それに「生産数」を掛けることで全体の使用料が決ります。

-最後に、もう少し知っておいたほうがいいことはありますか。

「広告宣伝」とグッズの「商品化」の契約についてについてお伝えしましたけど、ほかにも「ゲーム」とか「原画展」とか「イベント」など、いろいろな契約形態があります。ひとつひとつ説明しているとキリがないですから、これらについてはぜひC-Stationからお問い合わせください。

また、作品やキャラクターを選ぶ際、マンガの種類も数も膨大になっていることもあって知らない作品もたくさんあるかと思います。そんな時は、商品のコンセプトやターゲットを私たちに伝えていただけば、それにシンクロしたマンガ作品をご案内できます。

-ありがとうございました。

ここまで、キャラクター契約についての知識をお伝えしました。
契約に関する疑問も含めて、キャラクターに関するお問い合わせはこちらにお気軽にお寄せください。もちろん、キャラクターの選定や各キャラクターの周辺情報などのご相談もお気軽に記載してお送りください。
作品やキャラクターを探したい時はC-stationの「マンガ検索」が便利ですので、ぜひお役立てください。

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