株式会社 丸井グループ

キャラクターがもつ共感性を活用して、新規ターゲット層を開拓

[課題]
・グループ証券会社のリードジェネレーション
・20~30代女性層という新規市場開拓の難易度
・"金融商品=難しい"という先入観の払拭

投資信託のような金融商品といえば、有産層や富裕層がターゲットというイメージが先行しがちだ。まとまった資産を持て余し、その運用方法を模索しているようなペルソナが浮上する。年齢層でいっても、社会的な実績やステータスもある中高年層を想定するのではなかろうか。事実、とある調査機関によれば、金融資産として投資信託を保有している約半数が60歳以上といわれている。

ところが、丸井グループが投資信託販売のターゲットに設定したのは20~30代女性。従来どおりの資産運用や金融商品といった文脈からすれば、極北に位置するようなターゲットである。

一見、無謀のようでもあるが、これが、理由も勝算もあってのマーケティング戦略なのだ。まず、同グループが発行するエポスカードの会員のうち、20~30代女性がボリュームゾーンを占めている。マルイ各店舗における小売業での支払いだけでなく、彼女らのファーストカードとして、生活に密着した金融ガジェットとして定着。市場としてのポテンシャルとロイヤルティをみすみす見逃す手はない。

もうひとつの理由は、対象が"つみたてNISA"であること。2018年より開始された少額投資信託非課税制度は、手持ちのまとまった資産がなくとも、毎月数千円から手軽に利用できる。晩婚化や未婚率増加など、女性の人生設計が多様化するいっぽうで、金利ゼロ時代が長らく続く現在、20~30代女性を対象とした資産運用の需要は充分に見込める。

ネックは商品特性の説明を含めた認知にある。リスクを含めた投資信託という金融商品の理解なくして顧客化は望めない。自分の資産と経済活動を現実的な数字で把握していないという消費者も少なからず存在し、能動的な資産運用への関心が希薄であることも多い。それこそ、冒頭で述べたように、彼女たちにとって、資産運用や投資信託というものは、一部の富裕層のためのものであり、自分ゴトとして捉えるには、難解さと不安がつきまとう、縁遠いものというイメージを払拭できないのだ。

どうすれば、20~30代女性にもマッチした金融商品であることを伝えられるだろうか。それが最大の課題となる。いや、それよりも、まずはいかにして、資産運用について、彼女たちの関心を惹くか。レトリックの変換も必要だろう。"資産運用"というよりは"お金の管理と備え"といった具合に。恋愛、結婚、出産、子供の養育、不動産購入など、彼女たちの人生設計において重要な"資産=お金"への関心が高いことだけは間違いない。

丸井グループが選択した施策は、『東京タラレバ娘』のキャラクターを採用した知育アプリの展開というものだった。主人公の倫子さんはじめ、タラちゃん、レバちゃんといったキャラクターが登場し、"お金の管理と備え"の重要性から、金融商品の基礎知識に至るまで、チャット形式でレクチャーしてくれるというもの。「~タラ」とか「~レバ」という語尾の文言で、極めて親近感をもたせる仕掛けになっている。もちろん、内容は東京証券取引所監修というお墨付き。

展示会やセミナーが展開されるイベント開催などとの連携もあり、上々の成功を収めているという。接点がなければ難解そうに感じられる投資信託も、実際の運用についてはプロが手掛ける。回路設計やソフトウェアを知らなくてもスマートフォンを使いこなせるように、金融商品としてのサービス内容をリスクも含めて理解していれば、手軽に利用できる商品であることを認知させられた。

丸井グループアニメ事業部企画課長の田中さんは、「(アニメ事業の)取扱高は、当初、数億円というところから、4年間で75億円まで拡大しています。やはりコンテンツの力はすごい」と、その背景について分析する。『東京タラレバ娘』のキャラクターたちが、自分たちに向けて語りかけているという仕掛けにより、ターゲットたちの苦手意識を払拭させることに成功したようだ。(取材・文/加藤亮介)

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