Future View業界未来図

夏目幸明責任編集
21業種 経営者が語る業界未来図

夏目幸明

自動車・関連品

株式会社イエローハット(前編)

今後はすべてが“スキマ産業”になる!

なぜイエローハットはネットに負けないのか?
“マイナスの時代の成長法”を聞いた!

10~20代の若者の運転免許証保有率、自動車普及率は長期下落傾向にある現在、“街のクルマ屋”は次々、廃業しているが……いまもって元気な企業があった。堀江康生社長率いるイエローハットだ。自動車業界といえば自動運転や水素自動車等の進化が話題だが、本稿ではあえて、どの業界の読者も参考になる身近な話を聞いた。

将来、何が売れるかは
「そこを予想しない(笑)」

夏目:最近、街のガソリンスタンドやタイヤ専門店など、自動車に関連する店が減っていますよね。これはなぜですか?

堀江:クルマや部品の性能が向上しているからです。単純な話、最近はクルマの燃費がよくなって“今まではリッター8キロしか走れなかったけど、クルマを買い換えたら倍は走るようになった”といったことが起きています。当然、ガソリンの販売量は減りますよね。タイヤ専門店も似た事情で、性能が向上してタイヤの溝が減りにくくなっています。さらにはユーザーも“キーッ”とブレーキをかけるような運転をする方が少なくなって、交換の頻度が減っているんです。

夏目:ところが、御社の業績は下がるどころか、店舗数が増えています。

堀江:日本に乗用車は約6000万台走っていて、何らかのニーズはあるはずですからね。

夏目:例えばどんな?

堀江:車検はディーラーさんに比べ圧倒的に安いですよ。ディーラーさんは建物が立派で、我々は新規出店時に新築の場合1億円程度かかりますが、ディーラー各社は5倍くらいかけていると思います。サービスもきめ細かく、車検が終わると担当者がオーナーの駐車場にクルマを入れておいてくれたりします。だからお値段も高くなります。一方、我々は建物や立地に費用をかけていないことから商品代や工賃が安く、必要以上のサービスを行っていないことから、リーズナブルな料金設定が可能です。そのため、まだ「新車」と呼べる交換を要する部品が少ないクルマのオーナーはディーラーさんに頼みますが、クルマの購入後5年くらい経って部品の交換や修理が増えてくると、当社のようなカー用品店に持ち込んでくださるようになります。これは、売り上げを伸ばすべく、我々がお客様にアプローチを続けてきた結果です。

夏目:なるほど。

堀江:何かニーズはあるんですよ。仮にカー用品に限っても、一時期はカーナビが売れる売れると盛り上がっていましたが、その後、スマートフォンのナビを使う方が増え、売り上げ台数・金額ともに減少していきました。すると今度はドライブレコーダーの売り上げが右肩上がりで伸びています。こういったことが起きたら、例えば社員にもっと専門的な知識を持ってもらったり、広告費を注ぎ込むなど、力を入れればいい。

夏目:ちなみに今後は何が伸びていくとお考えですか?

堀江:そこを予想しないんです(笑)。気にしない。

夏目:大胆なお言葉ですね(笑)。

堀江:例えば今後、仮に「新型のETCが出て政府が助成金を出す」となったら全店舗がパッと対応すればいいんです。以前からそうで、例えばチャイルドシートの装着が義務化されたり、スパイクタイヤの着用が実質禁止されるなど、「もう何もない」と思っていても、必ず何かニーズは出てくるんです。市場はお化け屋敷ですよ。三つ目小僧が出てくるか、ろくろ首が出てくるかわからないから、出てから考えればいい。だから、何が起こるか予想するより、何にでもパッと対応できる体制を整えておくことの方が重要なんです。そして、何もなければ――ちょうど今、力を入れているんですが「黄ばんだヘッドライトを磨きます」といった、今まで売り上げゼロだったものに手をつければいいんです。

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数字が「減っていく時代」の
イエローハット流・生存術

夏目:今、自動車は激変期を迎えようとしていますよね。電気自動車、自動運転など……これにはどう対応していきますか?

堀江:いえ、本当に電気自動車が普及するかはまだ分かりませんよ。例えば、電気自動車に乗って夏場にクーラーを使いながら走ってみてください。みるみるうちに電池の残量が減って「もう止まっちゃうんじゃ?」とちょっと怖くなる瞬間がありますよ。まだ市場の皆さんは、将来を見守っている段階ではないでしょうか?

夏目:でも、充電式のスタンドは増えていますよね?

堀江:しかし充電に時間がかかるから、今のところ、あまり使われていませんよね。

夏目:では自動運転は? クルマがリビングのようになる、とも言われていますが。

堀江:それも普及までには時間がかかるでしょう。最初は「遊園地やゴルフ場の敷地内のバスを自動運転にします」とか、運送屋さんのトラックが4台で走るときに、後ろの3台が自動運転でついてくるとか、そんなところからスタートするのかな、と思っています。しかも「事故が起きたらどうする?」という法律の問題がクリアされてからです。むしろあわてて対応する必要はないと思っています。

夏目:とはいえ、運転アシスト機能や、衝撃を検知するとコールセンターに電話が繋がって事故対応をしてくれるような「コネクテッドカー」は既に使われていますが……?

堀江:ええ、そういった普及しているものに対応していけばいいんです。例えば当社は運転アシスト機能の普及にあわせ、「軽鈑金」(クルマの小キズ、ヘコみ程度の鈑金作業)に力を入れ「ワンプライスクイック鈑金」というサービスを実施しています。

夏目:軽鈑金? なぜですか?

堀江:自動ブレーキ機能がついたクルマが普及すれば、フルスピードで何かに衝突するような大事故は減るはずです。交通事故死亡者も圧倒的に減るでしょう。素晴らしいことです。と同時に、増えるのは……。

夏目:あ、軽い事故か!

堀江:ええ、ちょっとへこんだ程度の事故が増えるはずです。だから軽鈑金なんですよ。こういった市場の変化は、常にどこかで起きています。これが起きてから対応すればいい。

夏目:自動車産業は非常に裾野が広いから、どこかで何か変化が起きている、とも言えますね。

堀江:それが追い風なんです。そもそも、今はいろいろな数字が「減っていく時代」。例えば「若者の〇〇離れ」などと言われ、クルマ離れも起きていますが、これは様々な楽しみが生まれ「休日はドライブ」「冬になったらスキー」といった"定番"がなくなって、市場が細分化しているからですよ。だから既存の業界はどこも、ユーザーや売り上げが減っていくのは当然。しかし、目先の変化を捉え続ければ対前年比100%くらいならなんとかできるはずです。

夏目:それが「減っていく時代」の生き残り方なんですね。

堀江:しかも縮小傾向にある市場では「残存者利益」が狙えます。これがいいビジネスになるんですよ。

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