課題の解決事例

コンテンツ×広告手法で、顧客の「信頼」「共感」を獲得

株式会社コーセー

良質な動画コンテンツ拡散施策により、SNS強化に成功!

[課 題]

  • 話題作りを狙った広告戦略
  • インスタグラムの強化
  • “動画コンテンツ”制作の難しさ

ひと口に化粧品市場といっても、販売チャネルで大きくふたつに分類できる。百貨店などで美容部員が懇切丁寧に接客するハイエンド向けブランドと、「ヴィセ(Visee)」のように、“セルフ”とも呼ばれるマスチャネルで販売されるブランドだ。両者では、広告戦略も大きく異なってくる。コーセー宣伝部の川添慎太郎さんはいう。

「“セルフ”のブランドでは、店頭の消費者に、自ら選んでもらい、手に取ってもらわなければなりません。そのための話題作りがとても重要なんです。歴史やイメージを守らなければならないブランドと違って、“攻め”の広告戦略が必要なんですよ」

そこでヒントになったのが、上の動画でも証言しているTVドラマのインフォマーシャルによる反響の大きさだ。しかし、TVのCM枠購入には莫大な予算が必要となる。

ネットでインフォマーシャル動画を配信すれば予算は抑えられる。さらに、ネット上での施策であればSNSによる拡散なども期待できる。20代女性をコアターゲットとするヴィセも、ご多分に漏れず、ブランドのインスタグラム強化は大命題である。とはいえ、独自に動画コンテンツを制作してネット配信し、ターゲット層の注目を集めて話題となるまでには、いくつもの高いハードルを越えなくてはならない。

まず、コンテンツの性質。インフォマーシャルというと、TVショッピングのイメージを連想するはず。実際、狭義では、商品情報を詳細に紹介するCM形態を意味するのだから当然だ。しかし、あからさまに“売らんかな”を目的とした宣伝に、消費者が抵抗感をもつことは、多くの企業が知悉しているところ。ましてや、自発的な視聴が主体となるネット上では、それらの宣伝動画は埋没するよりほかはない。

話題作りという効果を狙える動画コンテンツとなると、視聴者がエンターテインメントとして楽しめることが最優先される。どれだけ宣伝色を薄められるか。その結果、自然と商品やその世界観が伝われば理想的というスタンスだ。メーカーや企業の広告戦略としては難題である。文化事業としてのスポンサードではないのだから。革新的な企業であっても、組織である以上、広告戦略として、そのような前例のない試みを実現させるのはなかなか難しいだろう。

次に、そのようなエンターテインメント性重視の“動画コンテンツ”を誰が制作するかも問題となる。自社で制作すれば、どうしも宣伝色は強くなりがちだし、メーカー主導ならではの押しつけがましさも完全には払拭しにくい。メーカーとは異なる第三者視点で、ネットも含めたあらゆるメディアでの展開をワンストップで実現させられるパートナーを探す──これも大きな課題だ。当然、メディアに白羽の矢が立つことになるだろうが、現在、ブランドや商品の世界観を十全に理解し、スタッフやキャストを抑えて撮影をこなし、全方位的なタッチポイントで展開できるようなメディアが存在するだろうか。それも懸念材料だった。

ここで特筆すべきは、広告戦略におけるキャスティングの基準に大きな変化が起きていること。インスタグラムなどSNSのフォロワー数とその属性が、タレントやモデルの価値を決める重要なファクターとなってきているのだ。もちろん、SNSが普及する以前から、そのキャストがどのような層から支持されているかは重視されていた。それがより明確に数値化されるようになったわけだが、自社サイトやSNSへの誘導による情報発信がしやすくなった現在では、極めて実効的で重要視されるデータとなっている。メディアにとってキャスティング力はさらに重要度を増しているといっていい。

「動画コンテンツということで、パートナーになってもらうのは難しいかもしれないと思ったのですが、最初に、お付き合いが長く、ブランドのことをよく知ってもらっている『ViVi』さんに相談してみたんですよ」

コーセー宣伝部の川添慎太郎さんは、雑誌『ViVi』とのコラボのきっかけをそういう。『COSMOPOLITAN』のナイトイベントで“引き寄せリップ”というキャッチフレーズをティーザー的に発表し、数ヶ月先まで予約がいっぱいというツイッターのプロモトレンドも押さえたが、最大の課題は、やはりコンテンツ制作だった。

映画やドラマのワンシーンのような良質なイメージ映像動画でブランドのセンスを訴求。多くのインフォマーシャルが商品情報の詳細を事務的に伝えるのとは対照的に、商品は、ストーリーにおけるキーアイテムとしてクローズアップするだけに留めた。メーカーの広告戦略としては大英断ともいえる施策だろう。

その結果、第1弾となった2017年10月号の施策だけで、総再生回数は260万回を超え、1週間~10日後にTVでCFが流れる頃には、店頭で特定のカラーが品切れになるほどの成功を収めた。その要因のひとつには、SNSを通じた『ViVi』読者層への訴求が奏功したこと。課題のひとつであったインスタグラムのフォロワー数も、ヴィセ全体で約1万人増え、現在10万人に達したという。

「多くのクライアントが離れていくなかで、かえって雑誌というメディアはブルーオーシャンになっているのでは」

と、川添さんは、雑誌メディアとコラボレーションする魅力として、ブランドや製品に対する深い理解、雑誌のもつタレントやモデルとの強いパイプなどのメリットを挙げる。『ViVi』というメディアならではの第三者視点で制作されたコンテンツの説得力も高く評価する。

斬新なリップスティックをヒットさせることにより、ヴィセというブランド全体のハイセンスなイメージを形成する。ひいてはコーセーという企業のステージアップにもつながる大きなプロジェクト。少なくとも、宣伝マンの川添さんは今回の事例をそう分析する。それだけに、TVや雑誌の純広告、雑誌とのタイアップ企画と連動したネット動画配信、さらにSNSでの拡散という大掛かりで全方位的な展開も納得できる。

そんななかでも、イメージ映像ともいえるネット配信の動画コンテンツの役割は大きい。気に入った映画のワンシーンのように、繰り返し視聴しても飽きないという映像コンテンツである。実際、再生回数、PV、UUなどから分析しても、「リピーター率は高いはず」という。視聴者/消費者の心に深く浸透する広告コンテンツとして成立したのだ。(取材・文/加藤亮介)

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