課題の解決事例

コンテンツ×広告手法で、顧客の「信頼」「共感」を獲得

キリンビール株式会社

マンガを活用して、ターゲット層に商品認知、訴求の拡大

[課 題]

  • 新たなカテゴリーの認知
  • アーリーアダプター層からフォロワー層へ
  • 商品リニューアルに伴うリ・ブランディング

「シードル」という飲料は、一説によれば1000年以上の歴史をもつともいわれるが、日本における認知度はビールやワインのそれに比べると圧倒的に低い。ましてや、フランスやスペインなどのような伝統的なスタイルではなく、イギリスやアメリカで人気となっている"現代的でカジュアルなアルコール飲料"としての提案となると、もはや新カテゴリーにほかならない。

新たなカテゴリーの成立にはマーケットの開拓が不可欠だ。誰が、いつ、どこで、どのように求めるのか、ライフスタイルごと示さなければ消費者には伝わらない。コミュニケーションとしては極めて濃密なものとなる。

2013年、飲食店展開からスタートしたキリンビールの「ハードシードル(HC)」は、高感度な都市型生活者の30代女性を中心としたアーリーアダプターに好評を博した。ライススタイルを提示するには恰好の場である。"ビールほどオヤジ臭くなく、ワインよりもカジュアル"と、伝統的なリンゴの醸造酒が、日本の都市部で新たな飲み物として受け入れられたのだ。これをふまえて、次のステップとして量販店などの流通にのせ、フォロワー層への浸透を図る。

しかし、「ビールの代替品」(キリンビール・藤田美佳さん)という位置づけをしていた当初は苦戦を強いられた。どんなジャンルであれ、ニッチなニーズに活路を見出した新カテゴリーで、ビジネス規模やマーケットを拡大するのは容易なことではない。そもそも、ビールとは違うことも大きな魅力のはずだったシードルは、そう簡単に「代替品」としては認知されなかった。こだわりの強い商品やサービスほど万人受けはしにくいものだ。

そこで、戦略の立て直しとして2016年、商品をリニューアル。りんご果汁を100%使用するという原料へのこだわりや、ボトルやラベルデザインの変更、容量は330mlから290mlへ、アルコール度数も5%から4.5%へ引き下げる。明確に30代女性をターゲット層として設定した。彼女らが、より、手に取りやすく、飲みやすくしたというわけだ。

ターゲット層の明確化で広告戦略のヴィジョンは鮮明化する。日本ではメディアによる情報接触が二極化しているといわれ、低年齢層ほどネットに、高齢者層ほど4大メディアに、強く親和性をもっている。動画で藤田さんも言うように、就業率の高い都市部の30代女性は前者に属す。そのターゲット層の生活動線へ向け、カテゴリーからブランドまで認知させる深いコミュニケーションを。それがフォロワー層への訴求における大命題となる。

量販店やコンビニエンスストアでも気軽に入手できるのに、缶チューハイなどのRTDとは一線を画した「上質なブランド体験」(藤田さん)。そんなブランディングのために選択されたのは、いくつかのデジタルコンテンツによる複合的な手法だった。

キリンビールが選択したデジタルコンテンツによる広告展開は、LINEのスタンプ、稚野鳥子の描き下ろしマンガ、Spotifyという3本柱で構成される。LINEで誘引し、マンガで商品理解を深めさせ、飲用シーンに最適な音楽をお薦めするという手法。徹底したライフスタイル提案型である。

なかでも、ヴィジュアルとストーリーを含むマンガは、商品の世界観や飲用シーンを伝達するのにはうってつけだ。そこには作家独自の視点とセンスも盛り込まれ、メーカー発信のお仕着せ感のような印象も薄まる。

ターゲット層の生活動線をカバーするため、ボトルの"首掛け"としてミラーなどの販促品を採用するなど、店頭でのキャンペーンも展開しているが、「ブランド認知という点では、デジタルコンテンツによる訴求効果のほうがとても大きい」と藤田さんは言う。

純粋にアルコール飲料としての評価も高い。しかし、それ以上に重視すべきは、同時に提案しているライフスタイルが消費者の理解と共感を勝ち取ったこと。"モノが売れない時代"とはいわれるが、モノが約束してくれる特別な体験に、消費者は敏感になっている。(取材・文/加藤亮介)

キリンビール(株)の広告プラン

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