課題の解決事例

コンテンツ×広告手法で、顧客の「信頼」「共感」を獲得

サッポロビール株式会社

ロングセラー商品の、難易度の高いマーケティング戦略

[課 題]

  • ロングセラー商品の活性化プロモーション
  • 既存ファン、新規ファンのいずれにも共感される手法
  • 商品取扱店舗の把握

誰もが一度は見たり聞いたりしたことのあるブランドなのに、その商品やサービスの実体までは意外と周知されていない。老舗ブランドにおけるロングセラー商品にはありがちな課題だが、この「赤星」こと「サッポロラガービール」は典型例といえる。通好みな酒場の瓶ビールとして140年もの歴史をもつロングセラー商品なのに、自分には縁がない、あるいは縁遠い存在として認知している消費者が多い。スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、なかなかお目にかかれないことが大きな要因だ。

知名度の高い老舗ブランドやロングセラー商品の広告戦略は、難易度が高まる。テレビCMやインターネット動画における連呼型広告、紙媒体におけるイメージ広告など、商品名の周知を主目的とした手法がほとんど意味をなさないためだ。せいぜい商品の健在ぶりを消費者に再認識させるだけで、最もコミュニケーションしたいコンセプトが伝わらない。

「赤星」の場合でいえば、雰囲気、会話、料理とのマリアージュなども含めた"酒場カルチャー"を成立させるビールであること、また家庭での消費を重視していないところに難しさがある。ビール飲料としては極めて特殊な商材だが、だからこそ消費者の嗜好性に関わる広告戦略の糸口を探る好例となるのではなかろうか。

嗜好品の魅力を本格的に伝えるには、深いコミュニケーションが必要だ。個性的であるほど発信すべき情報量は増える。同時に、それがどこまで消費者に伝えられるのだろうかという疑問もついて回る。

情報発信と伝達の手法として、多くの企業が"オウンドメディア"と呼ばれる自社サイトを活用してコミュニケーションを図るようになっている。しかし、ここには落とし穴もある。メーカーや企業による情報発信は、洪水のように溢れる自画自賛型広告のように見られて消費者にスルーされてしまう。もはやネット社会における条件反射の現象だ。

そのため、オウンドメディアでありながら、あえて企業名を前面に出さず、第三者視点で制作されるケースが多い。ファッション業界などで成功事例が目立つ手法だが、ターゲット層と自社製品をつなぐライフスタイルを切り口とした啓蒙コンテンツに、SNSを連携させたソーシャルサイトとしての体裁も整えている。消費者にとって有力な情報や口コミが得られるコミュニティには、広告効果としての大きなポテンシャルを見込めるのだ。

ライフスタイルやカルチャーといった視覚化しにくいテーマを伝えるには、"きちんと読まれる"リッチで有益なテキスト情報の充実が求められる。しかも、消費者の共感を得られる公平な立場とエンターテインメント性も備えられていなければならない。企業イメージとの関連性が高いオウンドメディアには、展開のハードルが高いところだ。

サッポロビールは、『現代ビジネス』『FORZA STYLE』『おとなの週末』という3メディアが、それぞれの視点で語る『赤星★探偵団』というサイト運営をソリューションとして選択。もっといえば、各メディアのキュレーターたちと、サイトの「団長」として起用した尾野真千子の視点で「赤星」が語られる。主体は、消費者目線の"話者"。彼(女)らの饒舌な語り口は、押しつけがましさがなく飽きさせない。

「注しつ注されつというコミュニケーションこそが、近年のブームとなっている酒場カルチャーの醍醐味なのでは」(サッポロビール・武田悟季さん)として、あえて瓶ビールという形態にこだわる。そんな酒場で生まれる会話や雰囲気をネット上で再現することにより、既存のファンに失望されることなく、若い世代や女性層への波及にも成功している。現在のビール飲料市場で、この「赤星」の右肩上がりの業績は異例だ。

サイト開設当初、一般消費者も"話者"として投稿していたのをはじめ、読み物記事が充実するにつれ、「赤星」が飲めるお店の情報が、どんどん更新、蓄積されてきた。それも、従来型メディアとは違い、ネットならではのメリットである。実用的なツールとして機能するコンテンツがリピート率を高めるのは自明のことだ。

消費者不在の広告展開が失敗しやすいのに対し、ライフスタイルの担い手である消費者を主役に据えた戦略の成功例といえる。さらに、その酒場カルチャーというライフスタイルを成熟させるため、飲食店などの関連企業を巻き込みつつも、メーカー企業としてはあえて一歩引いたスタンスを守り続ける。その地道ともいえる活動がロングセラー商品の付加価値として還元されるために。老舗ブランドが伝統を守り続けていくためには、土壌を耕すがごとく、中長期的な視点で、新たなマーケットの創造を継続していかなければならない。(取材・文/加藤亮介)

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